りむなーず・かーにばる
Limner(リムナー)とは『旅の絵描き』のこと。 風の吹くまま、気の向くままに描き綴るBlogでございます。
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Dazzle Memories Ⅱ
RO小説の第二弾でございます。
一話一話を短めに心掛けてはいるのですが、だんだん長くなり・・・

Dazzle Memories (Ⅱ)
◆Shining, she is◆

屋敷の裏庭でとんだ拾い者をして5日が過ぎた。
あの後彼女は屋敷まで走り、助けを呼んで彼を屋敷に連れ帰った。
余程疲れていたのか、彼は昨日ようやく意識を取り戻したのだった。

『名前・・・?え・・・っと、アスク・・・うん、名前だけは、覚えてる』

意識を取り戻したものの、彼、アスクは名前以外の記憶を無くしていた。
どこから来たのか、どうしてあの場所で倒れていたのか。
家族のことさえも忘れていた。言語や習慣を覚えていたのが奇跡である。

「嘘をついてる様にも見えないし・・・困ったものだわ」

少女は一時的に彼の部屋となっている客間まで来ると、ドアをノックした。

「私です。入りますけど、大丈夫ですか?」
「・・・ああ、大丈夫。どうぞ」

ドアの向こうから返事が聞こえる。彼女はそっとノブを回し、扉を開けた。
部屋では青年が身体を動かしていた。全身の筋を伸ばしている様だ。

「・・・呆れた。もう動けるんですか?昨日の今日ですよ」
「よっ・・・と。いや散々寝てたから、どうにも鈍っててね」

右腕をぐるぐると回しながらアスクは応える。
伸び放題だった髪も一応は纏められ、髭面も整えられている。
彼がちゃんと眼を開けてから気付いたことだが、彼の瞳は漆黒ではなく、
暗い紫水晶の様な透明さを持っていた。

「身体はともかく、記憶の方はどうですか?」
「うーん、・・・やっぱり何とも。思い出すべき記憶が元から無い、様な」
「ふむ。・・・じゃぁ確認。私の名前は?」
「えっ?何を突然・・・」
「いいから。テストです」

じっ、と自分を睨む少女に戸惑ったのか。アスクは頭を掻きつつ

「リーフ。リーフスラシル・ヘイズ・グルヴェイグお嬢様、です」

と、芝居がかった口調でそう答えた。
その仕草が気に入らなかったのか、少女、リーフはむっとした表情になる。

「・・・なんか不愉快だけど。まぁいいでしょ、脳の障害ではないみたいね」
「テストは合格?」
「昨日教えて今日忘れられてたら堪らないもの。当然の結果ですね」
「・・・こりゃ、手厳しい・・・」

アスクが苦笑する。その様子を見てリーフもクスリと笑みを浮かべた。

「冗談ですよ。大事が無くてなによりです」
「ははは・・・。そういえば、まだ言ってなかったんだっけ」
「?何か思い出したことが?」
「いや。・・・助けてくれて、有難う。まさにリーフは命の恩人だ」

アスクは不意に真剣な表情になると、深々と頭を下げた。
その様子にリーフは最初、呆気にとられた。そして優しげに微笑むと

「はい。助かってくれて良かったです。神様に感謝しなくちゃいけませんね」

と、心から嬉しそうにそう告げた。
そしてアスクの手をとると、部屋の外へと引っ張っていく。

「えっ、なっ、何?」
「元気になったのなら、街を案内してあげる」

ぐいぐいと引っ張りながらリーフは応える。
屋敷の玄関まで来ると、両開きの重厚な扉を開け放ち、彼に振り返る。

「ようこそグラストヘイムへ!忘れんぼの旅人さん」

朝の日差しを逆光に浴びてなお、少女の姿は光り輝いて見えた。
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